3−1 ひらがな 平安時代の和歌墨書土器

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出土遺跡名:平安宮跡出土 和歌墨書土器 平安宮左兵衛府~侍従所宮内道路西側溝 時代:平安中期 京都市指定文化指定財http://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/page/0000175571.html
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出土遺跡名:平安宮跡出土 和歌墨書土器 平安宮左兵衛府~侍従所宮内道路西側溝 和歌解読(藤岡忠美氏)

平安宮跡からは、数多くの墨書土器(ぼくしょどき=墨で何かが書かれた土器)が見つかっていますが、その多くは漢字で、仮名のものはごく少数だそうです。また、私が考古資料館で伺ったところでは、土器に書かれている仮名はすべてひらがなで、カタカナが書かれたものは見つかっていないそうです。その理由は、見つかった土器に書かれている文章が和歌であることが多いためだろうということでした。この土器(かわらけ)にも「ひらがな」が書かれています。何が書かれているのかを分析することも研究の一つです。写真にある和歌の文は、藤岡忠美(ふじおか ただはる)氏によるものです。□は、読み取りが不可能な部分を指しています。

 

 

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出土遺跡名:平安京右京三条一坊六•七町跡 -西三条第(百花亭)跡 時代:平安初期(九世紀後半) 京都市指定文化財: http://www.city.kyoto.lg.jp/bunshi/pag/0000175575.html

2011年に藤原良相(よしみ)邸推定地から発掘された遺物で、2015年現在最古級のひらがな遺物です。8行以上にわたって50文字ほどの仮名文字が書かれています。2013年5月12日に京都新聞日曜版シリーズ「遺物はささやく47」(著 京都市埋蔵文化財研究所主任 丸川義広)によると、この遺物に書かれているのは和歌で、6、7行目が「好きな人憎しと思はれ」と解釈されるそうです。そのため、この遺物は『うつほ物語』『伊勢物語』などの平安時代初期の文学にみられる「かわらけ(写真のような土器の皿)に歌を書いて相手に送る」という行為の具体的な資料として注目されているそうです。

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