万葉集のように、万葉仮名で書かれた「和文」と、古今和歌集仮名序のように、ひらながだけでかかれた「和文」の例を見ましたが、では、和文に漢字と仮名が混じって使われたのはいつごろからなのでしょうか。
『今昔(こんじゃく)物語集』(平安末期)は、そのような書き方(和漢混淆文=わかんこんこうぶん)の初期と言われています。次のサイトから、京都大学附属図書館蔵 国宝の『今昔物語集(鈴鹿家旧蔵)』を見てください。
http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/konjaku/kj_top.html
ここでは、漢字とカタカナ(小さく)が混じって使われていますね。和文に漢語を多く使った形の文章です。そういう意味では、今の日本語とあまり変わらないと言えるでしょう。その後、カタカナも漢字と同じ大きさで書くようになりました。漢字とカタカナの「仮名交じり文」は、明治時代の公文書にも用いられ、それは、第二次世界大戦後まで続きました。つまり、現在のように、漢字とひらながで基本的な文を書くようになったのは、1000年におよぶ文字の歴史からすると最近のことだということになります。